歯周病は、老若男女問わず発症する可能性のある病気で、こちらは歯周病菌というウイルスへの感染によって引き起こされます。
また、歯周病の発症は、歯周病菌が人から人にうつることが原因になるケースもあります。
今回は、歯周病の主な感染経路や、感染させないための対策などについて解説します。
歯周病は人から人にうつる病気
歯周病と聞くと、ブラッシングなどのケアをおろそかにしていた方が、単独で発症するようなイメージがあるかと思います。
しかし、実際はきちんとセルフケアができている方でも、他人から歯周病菌をうつされることで発症するケースもあります。
こちらは、歯周病がれっきとした感染症だからです。
皆さんがよくご存知の感染症と言えば、毎年寒い時期に流行するインフルエンザや、世界中で猛威を振るった新型コロナウイルス感染症などがありますが、これらは一度感染した後、多くの方が回復し、原因菌は身体から消失します。
一方、歯周病は一度の歯周病菌が増えると、常在菌として口内に滞在し続けます。
つまり、治療を行ったとしても、簡単に回復するわけではないということです。
そのため、知らないうちに家族や恋人など、近しい存在の方にうつしてしまう可能性が高いです。
歯周病の主な感染経路について
歯周病の主な感染経路は唾液です。
そもそも口内には、500から700種類の細菌が、少ない人でも1,000億個以上生息していると言われています。
これらすべてが人にとって悪い菌ではありませんが、その中でもの主に5つの細菌(P.g.菌、A.a.菌、P.i.菌、T.f.菌、T.d.菌)が、歯周病と関連していると言われ、これらが唾液を通じて感染します。
インフルエンザや新型コロナウイルス感染症と異なるのは、1つの菌による病気ではないということです。
また、唾液による歯周病菌の感染が起こるシチュエーションとしては、主に以下のようなものが挙げられます。
・子どもへの食べ与え
・食器の共有
・キス
・歯ブラシの接触
子どもへの食べ与え
赤ちゃんや幼児に食事を与える親御さんの中には、一度自身で食べ物を咀嚼し、柔らかい状態にして食べさせるという方もいます。
しかし、もし親御さんが歯周病を発症していたら、歯周病菌が多く含まれた唾液が子どもの口内に入り、こちらが感染経路になってしまうおそれがあります。
食器の共有
家族や恋人同士の場合、同じお皿やコップなどを使用するケースも多いかと思いますが、食事中にこれらを共有すると、歯周病を発症している方の唾液が別の方の口内に入り、感染してしまうリスクが高まります。
キス
夫婦やカップルのスキンシップであるキスは、少なからず唾液が交わる行為であるため、どちらかが歯周病にかかっていると、歯周病をうつす原因になってしまいます。
また、日常的に子どもにキスをするという親御さんも、知らないうちに歯周病をうつしている可能性があります。
歯ブラシの接触
歯ブラシは食器とは違い、たとえ家族や恋人同士であっても、共有するというケースは少ないかと思います。
また、ブラッシングをした後、丁寧に歯ブラシを洗う方も多いかと思いますが、実は洗った直後であっても、歯ブラシには多くの細菌が潜んでいます。
そのため、例えば2つの歯ブラシを隣同士で立てて保管している場合などは、いつの間にか毛先が触れ合い、歯周病菌が移動してしまうことが考えられます。
もちろん、歯周病菌が移動した歯ブラシでブラッシングをすれば、歯周病のリスクは高まります。
歯周病を感染させないための対策
先ほどの感染経路を見ていただくとわかるように、歯周病が周りの方にうつるケースというのは、基本的に身近な方が多いです。
それも子どもや家族、恋人といったかけがえのない人が大半を占めることから、できる限り感染を広げないよう努力することが大切です。
そのためには、とにかく口の中の衛生状態を良好に保つことを意識しましょう。
その他、歯科クリニックで定期診察を受けて、歯周病の早期発見、早期治療に努めることも大切です。
もちろん、予防できるのであればそれに越したことはありません。
また、歯科クリニックでは、歯周内科治療を行える場合もあります。
こちらは、歯周病の原因である歯周病菌について、薬を内服して除菌する治療法のことをいいます。
歯周病の原因菌が特定されたのは比較的細菌であるため、歯周内科治療はとても新しい治療法です。
具体的には、まず顕微鏡を使用し、口内にどのような種類の歯周病菌がどれくらいいるのかを確認します。
その後、歯周病菌の種類や状況に合わせ、細菌を除去する内服薬と、カビ取りの歯磨き剤を使用して、歯周病菌を退治していきます。
まとめ
ここまで、歯周病の主な感染経路、感染させないための対策などについて解説してきました。
歯周病をうつさないためには、まず大前提として、歯周病に感染しないようなセルフケアや、歯科クリニックでのメンテナンスを徹底する必要があります。
また、どれだけ仲が良い家族や恋人が相手でも、唾液による感染が起こるようなシチュエーションは避けなければいけません。