小児矯正は、ワイヤー矯正やマウスピース矯正など、さまざまな方法で行われますが、これらの器具で歯並びを動かした後は、リテーナーと呼ばれる器具を装着します。
こちらは、矯正治療の仕上がりにおける重要な役割を担っています。
ここからは、リテーナーの概要や使用上の注意点などについて解説します。
小児矯正のリテーナーとは?
リテーナーはマウスピースのような器具であり、一般的なものは透明な樹脂と金属製のワイヤーで構成されています。
矯正治療によって動かした歯は、少しずつ元の位置に戻ろうとするため、それを防ぐ目的でこちらが装着されます。
また、こちらのリテーナーを装着する期間は、保定期間と呼ばれ、保定期間中の通院間隔は、一般的に3~6ヶ月に1回の割合で、期間としては2~3年ほどになります。
小児矯正を開始するとき、歯科クリニックの医師に伝えられる矯正治療の期間には、こちらの保定期間も含まれています。
小児矯正で使用するリテーナーの主な種類
小児矯正で使用するリテーナーには、主に可撤式、固定式の2種類があります。
それぞれどのような特徴があるのか見てみましょう。
可撤式リテーナー
可撤式リテーナーは、取り外しが可能なタイプです。
具体的には、ワイヤーで歯を抑えながら、プラスチックで歯茎を覆うベッグタイプ、特に後戻りのリスクが高い前歯だけを抑えるホーレータイプ、歯列全体を透明なマウスピースで覆うクリアタイプなどが該当します。
固定式リテーナー
固定式のリテーナーは、フィックスタイプとも呼ばれるものであり、細い針金を歯の裏に接着するタイプです。
針金を通すのは歯の裏側であるため、ワイヤー矯正のように正面から見えることはなく、審美的な問題は少ないです。
ただし、取り外しができないことから、ブラッシングが難しく、針金の周りのプラークが溜まりやすいという欠点があります。
小児矯正でリテーナーの装着を怠るとどうなる?
小児矯正において、保定期間にリテーナーの装着を怠ってしまうと、歯に装置がはまらなくなるおそれがあります。
特に、リテーナーを使い始めた直後は、たった1日装着しなかっただけで、まったく歯が入らなくなってしまうことも考えられます。
保定期間の開始直後は、どうしても子どもの歯並びが不安定であり、矯正前の状態に戻ろうとする力が強く働いています。
そのため、1日でも装着を怠ると、翌日には歯が後戻りしてしまい、痛くて保定どころではなくなってしまうケースが多いです。
ちなみに、一度子どもの歯にフィットしなくなったリテーナーは、そのまま使用することができません。
このようなケースでは、歯科クリニックで新たにリテーナーを作製してもらう必要があり、こうなると子どもの負担増加、無駄な出費につながります。
また、リテーナーの作製には、ある程度時間がかかることもあり、こちらは矯正期間を長期化させる原因にもなります。
リテーナーの再製作期間中は、子どもの歯が後戻りしないように、ナイトガードなどで代用することもあります。
リテーナーが破損したらどうする?
小児矯正のリテーナーは、矯正器具と同様に破損する可能性があります。
破損の理由としてもっとも多いのは、保管の仕方の不備です。
リテーナーを外したとき、テーブルに置いてしまったことから、落として踏んでしまったり、ポケットなどに入れて変形したりすることが多いです。
また、リテーナーが破損した場合も、基本的にはつくり直しが必要になります。
わずかなヒビや歪みでも後戻りを引き起こしてしまう可能性があるため、親御さんは早めに歯科クリニックに連れて行きましょう。
リテーナーの使用中に痛みが出た場合は?
正しくリテーナーを使用しているにもかかわらず、子どもが口内の違和感や痛みを訴える場合は、口内や歯茎に器具が当たっている、そもそも器具が合ってないなどの理由が考えられます。
また、器具が当たったままの状態をそのままにしていると、口内炎ができたり、傷口から雑菌が入ったりするおそれがあるため、すぐに使用を中止し、歯科クリニックに相談してください。
飲食時にはリテーナーを外すべき?
先ほど紹介したリテーナーのうち、可撤式のリテーナーは、飲食時に取り外す必要があります。
装着したまま飲食をすると、歯とリテーナーの間に食べカスが挟まるなど、リテーナーを清潔に保てず、虫歯や歯周病を引き起こす原因になりかねません。
また、装着したままの状態で食事をすると、固形物がリテーナーに当たり、破損や原因を引き起こすことにつながります。
そのため、食事中は専用のケースにしまい、食後のブラッシングをしてから再度装着しましょう。
まとめ
ここまで、小児矯正で使用するリテーナーの概要や種類、使用上の注意点などについて解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
きちんとルールを守り、矯正器具で歯を動かしたにもかかわらず、リテーナーの装着をおろそかにしていると、これまでの努力が水の泡になります。
もちろん、子どもにとっては苦しい期間ではありますが、親御さんは無事に保定期間が終了するまで、しっかりと近くでサポートしてあげてください。