歯科クリニックで行われる歯科治療の中には、患者さんの費用負担が10割となる自由診療のものも多いです。
しかし、費用負担は保険診療と比べて大きくなるものの、自費診療の対象となるのは基本的にメリットの大きい歯科治療ばかりです。
今回は、自費診療で受けられる主な歯科治療について解説します。
自費診療で受けられる主な歯科治療5選
自費診療の対象となる歯科治療には、主に以下のものが挙げられます。
・PMTC
・セラミック治療
・インプラント
・入れ歯
・ホワイトニング
各項目について詳しく説明します。
PMTC
PMTCとは、Professional Mechanical Tooth Cleaningの略で、専門機器による歯面清掃のことを指しています。
元々はスウェーデンの歯科医が提唱した予防歯科の一つで、資格を持った歯科医師もしくは歯科衛生士が専門の機器を使用し、歯石や着色汚れなどを除去します。
PMTCは保険制度の制約がないため、歯周病がない健康な口腔環境を持つ方でも受けることが可能です。
また一度の施術で上下すべての歯を処置することもできます。
ちなみに歯科クリニックによっては、虫歯予防のためのフッ素塗布、歯茎の血行促進などに効果的なガムマッサージなども自費診療で受けられる場合があります。
セラミック治療
セラミック治療は、虫歯に侵された箇所を削った後、欠損部分をセラミックで補う治療です。
セラミックは、天然歯のような白い見た目が特徴の素材です。
そのため、銀歯やレジンなどを装着したときよりも、美しい仕上がりになることが期待できます。
またセラミックは、口内で変形したり溶けたりする可能性が極めて低いです。
さらに表面がツルツルしているため、タバコのヤニやコーヒーなどの着色もつきにくく、二次虫歯のリスクも低いです。
ちなみにセラミック治療は、健康を目的とした必要最低限の治療ではないため、自費診療に該当しますが、CAD/CAM冠など保険診療のものもあります。
つまり、場合によっては安く治療を受けられる可能性もあるということです。
インプラント
インプラントは、顎の骨に人工歯根を埋め込み、そこに上部構造と呼ばれる人工歯を装着する治療です。
歯を失った方の歯科治療といえば、これまで入れ歯やブリッジなどが主流でしたが、近年はインプラントを選ぶ方も非常に多くなっています。
インプラントのメリットは、健康な歯を削る必要がないことや、入れ歯などに比べて咀嚼能力に優れていることです。
また骨が痩せるのを防ぐことができ、なおかつ見た目の良い人工歯を装着できるところもメリットです。
ちなみにインプラントは保険が適用されない自費診療ですが、症状によっては保険の対象になります。
例えば生まれつき骨の1/3が欠損していたり、顎の骨が形成不全であったりする場合、先天的理由に該当するため、保険診療でインプラント治療が受けられます。
ただしこのような歯科治療ができるのは、常勤の歯科医師を配置した病院のみであり、歯科クリニックでは対応できません。
入れ歯
失った歯をカバーする代表的な治療法である入れ歯ですが、こちらには保険診療のものと自由診療のものがあります。
自由診療の入れ歯の種類は主に以下の通りです。
・ノンクラスプデンチャー
・金属床義歯
・マグネット義歯
ノンクラスプデンチャーは、部分入れ歯の金属のバネが樹脂でできているというものです。
バネの部分が目立たず、見た目がとてもキレイな上に、金属アレルギーを持つ方でも安心して使用できます。
また金属床義歯は、上顎部分が金属でつくられている入れ歯であり、食べ物の温度を感じやすく食事を楽しみたい方に向いています。
マグネット義歯は、従来のようなバネではなく、磁石の引き合う力を利用して入れ歯を安定・維持させるものです。
土台となる歯根に磁性キーパーという金属を埋入し、マグネットを取り付けた入れ歯を合わせることで、義歯の脱落を防ぎます。
ホワイトニング
ホワイトニングは、歯科クリニックもしくは自宅においてホワイトニング剤を使用し、歯を白くする治療です。
オフィスホワイトニングは即効性があり、歯科医師が施術するために色ムラが起こりにくく、施術を受けることで虫歯や歯周病の早期発見にもつながります。
一方ホームホワイトニングは、患者さんが自宅でマウスピースとホワイトニング剤を使って行うものであり、施術の度に歯科クリニックに通う手間を省くことができます。
ちなみにホワイトニングは種類問わず自費診療になりますが、歯のクリーニングであれば保険が効きます。
ただし冒頭で紹介したPMTCではなく、あくまで虫歯や歯周病などの病名・診断がついていなければ、保険診療の対象にはなりません。
まとめ
自費診療に対し、“お金がかかる治療”というイメージを持っている方も多いかと思います。
もちろんそれは間違いではないのですが、自費診療で受けられる歯科治療には、きちんと費用に見合った効果があります。
ただし保険診療の歯科治療にも当然メリットはあるため、実際治療を受ける際は、双方のメリット・デメリットをきちんと比較した上で、最終的な判断をしなければいけません。