歯並びを整えるための矯正治療にはいくつかの種類があり、中でも人気があるのがマウスピース矯正です。
マウスピース矯正の中でも、特に多くの人に選ばれているのがインビザラインですが、子供でもインビザラインで矯正はできるのでしょうか?
子供向けのインビザラインについて解説します。
インビザライン・ファーストについて
子供向けのインビザラインとしてインビザライン・ファーストがあるため、子供でもインビザラインによる矯正は可能です。
かつては、インビザラインは大人向けの矯正治療であり、子供のマウスピース矯正にはプレオルソなどが用いられていました。
しかし、インビザライン・ファーストという子供向けの矯正治療が開発されたことで、子供でもインビザラインが可能となったのです。
インビザライン・ファーストは、インビザラインと同じくポリウレタン製の透明なマウスピースを装着して、歯を動かします。
インビザライン・ファーストは、おおよそ6歳から12歳までの子供を対象とした矯正治療ですが、治療を受けるには条件があることに注意が必要です。
治療を受けられるのは、第一大臼歯という手前の奥歯が上下左右4本とも萌出している子供に限られます。
また、中央の前歯のうち、最低でも2本は3分の2以上見えていなくてはなりません。
少なくとも4分の3顎に、乳歯か未萌出の永久歯が2歯以上あること、ということも条件になっています。
3つの条件を全て満たしていなければ、年齢の条件は問題ないとしてもインビザライン・ファーストの治療は受けられないのです。
治療を受けるための条件を満たしているのかどうかを家庭で判断するのは難しいため、歯科医院で確認してもらいましょう。
インビザライン・ファーストが効果を発揮する症例は、顎の幅を広げる場合や、歯の位置を1本ずつ改善する場合です。
マウスピースで全体の歯並びを治しつつ、1本単位での微調整も行うことができるというのが、インビザライン・ファーストの特徴といえます。
対応している不正咬合は、上顎前突、下顎前突などで、上下の顎の成長のコントロールも可能であるため、成長期の矯正治療に向いているのです。
また、インビザライン・ファーストの特徴として、事前に治療後の歯並びをシミュレーションできるという点が挙げられます。
歯型などのデータから、3Dシミュレーションによって治療をする前から治療後の歯並びを確認できるのです。
治療期間と使い方
マウスピース矯正は、歯並びを整えるのに時間がかかるというイメージを持つ方も少なくありません。
インビザライン・ファーストの場合はどのくらいの治療期間がかかるのでしょうか?
インビザライン・ファーストの具体的な治療期間は、歯をどのくらいの距離動かすのか、何本動かすのかによって違いがあります。
動かす距離が長く、本数が多いほど、治療が終わるまでにかかる時間は長くなってしまうのです。
ただし、どのような症状であっても、治療にかかる期間は最大で1年半と決まっているため、1年半以上かかることはありません。
しかし、治療を終えた後に保定が必要になるため、リテーナーを装着した状態で経過観察をする必要があります。
また、治療期間が過ぎてもまだ十分に歯が動いていない場合には、成人矯正に切り替えることもあるため、1年半で終わるとは限りません。
また、通院するペースは1ヶ月半から3ヶ月おきです。
そのため、通院に付き添う負担が少なくなるでしょう。
スポーツの際も、滑らかで薄い素材でできているマウスピースはケガの心配がないため、安心して装着できます。
インビザライン・ファーストはマウスピース矯正のため、必要に応じて自分で取り外すことができるのが特徴です。
食事や歯磨きの際も取り外すことができるため、マウスピースを清潔に保つことができて邪魔にもなりません。
しかし、子供の場合は一度外した後に装着し忘れてしまったり、邪魔に思って勝手に取り外してしまったりすることもあるでしょう。
1日の装着時間の目安は20時間となっているため、できるだけ装着したままにする必要があります。
また、寝ているときも装着したままにしますが、慣れていないと無意識に外してしまうこともあるでしょう。
寝ている子供の様子を見て、もし外れているようならつけ直してあげましょう。
また、外出する際は装着するのを忘れないようにしないと、装着時間が足りなくなる可能性もあります。
子供でもインビザラインによる治療は可能ですが、大人のインビザラインとはさまざまな違いがあるため、注意して治療を進めてください。
まとめ
インビザラインは、もともと大人向けでしたが、インビザライン・ファーストが登場したことで子供でも治療を受けられるようになりました。
ただし、インビザライン・ファーストの対象年齢は6歳から12歳までと限られていて、さらに口内の状態によっては治療を受けられないこともあることに注意が必要です。
マウスピース矯正は自分でマウスピースを外すことができるため、子供が勝手に外さないよう注意して治療を受けてください。