口は体内への入口であり、口内の健康を保つことは全身の健康を守るためにも重要となります。
口の健康を保つためには、しっかりと噛むことも重要です。
子どものころから、よく噛んで食べるよう言われていた方も多いと思いますが、噛むことはなぜ重要なのかを解説します。
噛むことは健康につながる
食事の際に食べ物を噛むことは、食べ物を細かくして飲み込みやすくするという働きがあります。
特に、大きな食べ物や硬い食べ物、弾力のある食べ物などはよく噛まないと、飲み込むのが難しいでしょう。
実は、よく噛むという行為には、ただ食べ物を細かくして飲み込むという以外にも、重要な働きがあります。
よく噛むという行為の効果として、主に以下の4つが挙げられます。
・胃腸の消化を助ける
・歯の病気を防ぐ
・脳の働きを活発にする
・肥満を予防する
それぞれ、どのような効果なのか具体的な内容を解説します。
胃腸の消化を助ける
食べ物をしっかりと細かくしてから飲み込むと、胃腸に届いた後、消化するのが楽になるため、胃腸にかかる負担が軽減されます。
また、よく噛むことで唾液が分泌されますが、唾液にも消化酵素が含まれているため、より消化しやすくなるのです。
歯の病気を防ぐ
唾液には口内の汚れを洗い流し、口内を中性に保つ働きがあります。
口内が酸性に傾いていると、虫歯の原因菌が活発に動く環境となってしまうため、よく噛んで食べることで唾液の分泌が促進し、口内を中性に保つことは重要です。
虫歯の原因菌以外の細菌の中にも、酸性の環境で活発になるものが多いため、虫歯以外の細菌感染症の予防にもなります。
また、唾液には有害な細菌を防ぐペルオキシダーゼと呼ばれる酵素が含まれていることも、細菌の働きを抑制する効果につながるのです。
脳の働きを活発にする
よく噛むことは脳の働きを活発にするため、朝食をしっかり噛むことで頭がよく働くようになるといわれています。
また、よく噛むことで血行もよくなり、脳に栄養と酸素がしっかり供給されるようになることで、脳の働きは活発になります。
よく噛んで食べることが習慣になっている方であれば、脳の働きが常に活発となり注意力や集中力にも優れるようになるでしょう。
バランス能力にも影響して転びにくくなるという効果もあるため、特に高齢の方はしっかりと噛んで食べることをおすすめします。
転びにくくなれば、転倒して骨折し、寝たきりになるというリスクも少なくなり、脳が活発になることで認知症の予防にも期待できるでしょう。
肥満を予防する
食べ物をよく噛んで食べていると、少量でも満腹感があるため食欲が抑制されるという効果があります。
食べ過ぎないように食欲が抑制されることで、ダイエット効果があり肥満を防止できるため、生活習慣病の予防にもなるのです。
上記の4つの効果は昔から言われているものですが、最近ではさらにがんの予防効果もあるのではないかといわれています。
唾液に含まれるペルオキシダーゼという酵素は、有害な細菌とたたかうばかりではなく、活性酸素を消去する作用があるともいわれています。
食べ物に含まれる発がん性物質は活性酸素を生み出しますが、ペルオキシダーゼによって活性酸素が消去されることで、がんを抑制できるといわれているのです。
また、よく噛むことで目の周りの筋肉が刺激されて血行もよくなるため、視力低下の予防にもつながると考えられています。
「食べ物をよく噛んで食べる」というだけの行為に、非常に多くのメリットがあるのです。
人工歯は噛む力が弱くなる
よく噛んで食べるためには健康な歯が必要であるため、虫歯や歯周病になると全身の健康に影響が生じるかもしれません。
もし、虫歯や歯周病になって歯が失われてしまい人工歯になった場合には、噛む力が弱くなってしまいます。
部分入れ歯になれば天然歯の3割前後、総入れ歯の場合は1~2割ほどまで噛む力が落ちてしまうといわれています。
ブリッジの場合は入れ歯より強く噛むことができるものの、天然歯と比べると5~6割にまで落ちてしまうのです。
インプラントは天然歯に近い感覚で使用できる人工歯ですが、噛む力は同じとはいかず8~9割ほどになってしまうといわれています。
しっかりと噛んで健康を保つためには、丈夫な歯を持つ必要があるため、普段から歯に関心を持って正しく歯磨きをすることを習慣づけるべきです。
定期的に歯科医院に通って虫歯や歯周病がないかを確認してもらい、一緒にブラッシング指導も受けるようにしましょう。
口は体への入口であり、全身の健康にも影響するため、口内の健康を保ち全身の病気も予防することが重要です。
まとめ
口内の健康は全身の健康にもつながるため、清潔に保って虫歯や歯周病を予防することが重要となります。
口内の健康を保つためには、しっかりと噛むことが重要であり、よく噛むことで唾液の分泌を促して口内の汚れを洗い流し、虫歯や歯周病も予防することができるのです。
人工歯になるとよく噛むことも難しくなるため、虫歯や歯周病にならないよう定期検診を受け、しっかり歯を磨きましょう。