矯正治療は、歯並びや噛み合わせを改善するため、ひいては健康寿命を延ばすために必要な治療です。
必要であれば、子どものうちから第一期治療、第二期治療と段階を踏んで行うこともあります。
また、矯正治療はストレスと密接に関わっています。
今回は、矯正治療とストレスの関係について解説します。
矯正治療がストレスにつがなる原因
矯正治療を行っている期間は、歯列がキレイに並ぶまでの間、以下のような原因でストレスが溜まることがあります。
・うまく噛めない
・食事内容の制限
・見た目のコンプレックス
・矯正装置の痛み
各項目について詳しく説明します。
うまく噛めない
矯正装置は大きくワイヤーとマウスピースに分かれますが、ワイヤーの場合は口内に装置が固定されています。
そのため、装着したままの状態で食事をしなければいけません。
またワイヤーをつけたまま食事をする場合、今までとは口内の感覚が異なり、うまくものを噛めない可能性があります。
特に粘着性の高いものなどは、噛みにくいだけでなく歯と矯正装置の間に挟まりやすいため、非常にストレスになります。
もちろん、ブラッシングの際には歯と矯正装置の間に詰まった汚れがなかなか落ちず、ストレスが溜まることもあります。
食事内容の制限
矯正期間中は、基本的に硬いものを食べるのを控えるべきです。
なぜなら、歯が骨の中で安定している期間が短いため、硬いものを噛むと痛みが出やすくなるからです。
また固定式の場合、硬いものを噛むと装置が外れやすくなる原因にもなります。
つまり、矯正期間中は食事内容を制限されるということであり、こちらはストレスが溜まる原因になります。
見た目のコンプレックス
ワイヤー矯正の場合、矯正期間中における見た目がコンプレックスになり、ストレスにつながることも考えられます。
特に表側矯正の場合、外から見えやすい部分に固定式のワイヤーを装着するため、会話や食事の際の見た目が気になりやすいです。
そのため「大きく口を開けるのが嫌」「人前に出たくない」といったことが、知らず知らずのうちにストレスを蓄積させます。
ただし裏側矯正やマウスピース矯正であれば、見た目のコンプレックスによるストレスはある程度軽減できます。
矯正装置の痛み
矯正治療期間中、痛みが継続するとストレスが溜まりやすくなります。
矯正治療による痛みの多くは、歯が動くことが原因です。
特に歯が動き始めるタイミングは、慣れていないために痛みが強い傾向にあります。
またマウスピース矯正の場合、食事やブラッシングのたびに装置を取り外す必要がありますが、ヘリが歯茎に触れると痛みが生じることがあります。
矯正装置に問題がなければ、長期間痛みが続くことは考えにくいですが、痛みに敏感な方はそれだけストレスも蓄積しやすいでしょう。
ストレスが溜まることによる身体への影響
矯正治療によってストレスが溜まると、さまざまな身体の症状に見舞われることがあります。
具体的には、食事や睡眠などに関する症状です。
例えばなかなか眠れなかったり、食欲がなくなったりすることは、ストレスが原因で引き起こされることが多いです。
またストレスによって疲労感が強くなったり、動悸や息苦しさ、腹痛や便秘などの症状が出たりこともあります。
ストレスが溜まることによる精神的な影響
矯正治療によるストレスは、精神的にも大きな影響を及ぼします。
その際たるものがうつ病です。
うつ病は、気分が憂鬱で何をするのも億劫になり、食事や睡眠も満足にできなくなる症状です。
また不安感や焦燥感が強く、生きていることが申し訳なく感じるなどの危険な精神状態に陥るのが特徴です。
“矯正治療のストレスでうつ病になる”と聞くと、少し大げさに聞こえるかもしれませんが、可能性はゼロではありません。
うつ病は“こころの風邪”と呼ばれていることからも、誰もが陥りやすい状態と言えます。
ストレスが歯並びを悪化させることも
矯正治療はストレスを引き起こすことがありますが、だからといって矯正治療を避け、良くない歯並びを放置してはいけません。
なぜなら、日常生活におけるストレスにより、歯並びが悪化することがあるからです。
例えばストレスによって歯ぎしりや食いしばりの症状が出ている場合、上下の歯同士が強く擦り合わさることで、歯の表面が削れて噛み合わせが変わってしまいます。
また歯ぎしりや食いしばりで歯に負荷がかかると、歯を支える骨などの歯周組織もダメージを負い、歯が動きやすくなります。
歯が1本でも動いてしまうと、周りの歯もそれに合わせて動くため、全体的な歯並びが崩れることも考えられます。
まとめ
歯並びが気になる方にとって、矯正治療はなくてはならない治療法です。
これまで数多くの方が、自身の歯のコンプレックスを矯正治療によって改善させてきました。
しかし、矯正治療期間中にストレスが溜まる可能性は多いにあります。
そのため、前もって矯正治療の注意点を押さえ、治療期間中にある程度ストレスが溜まることを想定しておきましょう。