入れ歯を作製したことにより、これまで不便だった生活が一変したという方もいるかと思います。
具体的には、失った歯を補うことで食事や発音、審美性などに関する不便さが解消されます。
では、入れ歯を装着したままの状態で寝ても良いのでしょうか?
今回はこちらの内容について解説します。
入れ歯を装着したまま寝ても良い?
入れ歯をつけたまま寝ることは可能ですが、基本的には外した状態で寝るようにしましょう。
理由は簡単で、つけたままの方がデメリットは大きいからです。
「入れ歯の感覚に慣れたい」「朝起きたときすぐに入れ歯を使える状態にしたい」などと考える方は、装着したまま就寝しようと考えるでしょう。
確かにつけたままであればこれらのメリットは得られるかもしれませんが、基本的には就寝前に洗浄し、朝起きてからまた装着するものと考えておくべきです。
入れ歯を装着したまま寝るデメリット4選
就寝前に入れ歯を取り外さず、そのまま寝ることのデメリットは以下の通りです。
・感染症のリスクが高まる
・歯や顎への負担になる
・誤飲につながる可能性がある
・快適な睡眠の妨げになる
各デメリットについて詳しく説明します。
感染症のリスクが高まる
入れ歯を装着したまま寝ると、感染症のリスクが高まります。
こちらは口内が乾燥することが理由です。
睡眠中は起きているときと比べ、唾液の分泌量が減少しがちです。
唾液の分泌量が減ると、口内の自浄作用が弱まり、酸菌が増殖して感染症にかかりやすくなるという仕組みです。
また入れ歯を装着したままだと、ただでさえ少ない唾液が入れ歯に吸収され、より乾燥はひどくなります。
さらに入れ歯を洗浄せずに寝てしまった場合、元々入れ歯に付着している食べカスやプラークも感染症のリスクを高めます。
歯や顎への負担になる
入れ歯を装着しているときは、歯茎や顎が圧迫されている状態になります。
そのため、つけたまま寝るとトラブルにつながるおそれがあります。
例えば、歯茎や顎の負担で痛みが出たり、歯並びが変化してしまったりといったトラブルです。
また歯並びが変化すると、入れ歯がフィットしなくなってつくり直さなければいけない可能性もあります。
こうなると当然通院や費用の負担も大きくなります。
ちなみに、入れ歯は口内の粘膜を圧迫することもあり、こちらは口内炎につながります。
刺激によって形成された口内炎はカタル性口内炎というもので、口内の粘膜に赤い炎症や斑点、水ぶくれなどの症状が見られるのが特徴です。
炎症が強い場合は表面が白く濁って粘っこくなり、口臭が気になることも多くなります。
誤飲につながる可能性がある
特に部分入れ歯については、装着したまま寝ることで誤飲につながる可能性があります。
先ほども触れたように、入れ歯をつけているときは歯茎や顎が圧迫されています。
そのため、強い力がかかって入れ歯が外れることも珍しくありません。
特に歯ぎしりや食いしばりの癖がある方は、簡単に部分入れ歯が外れるおそれがあります。
また外れた部分入れ歯は口内で安定せず、そのまま飲み込んでしまうことも考えられます。
入れ歯の誤飲は、特にお年寄りの方などにとっては非常に危険であるため、外した状態で寝るのが賢明です。
快適な睡眠の妨げになる
就寝中に装着される入れ歯は、快適な睡眠を妨げる原因にもなります。
こちらは入れ歯を外すことによって口内の違和感が軽減され、リラックス効果を得られることが理由です。
入れ歯をつけたまま眠ろうとすると、無意識に入れ歯を噛みしめたり、動かしたりすることが多いです。
こういった行動が睡眠の質を妨げたり、なかなか寝付けなかったりすることにつながります。
入れ歯を装着したまま寝るメリットは?
入れ歯をつけたまま寝るメリットとしては、残存歯や歯茎の保護ができることが挙げられます。
例えば上の歯が飛び飛びに抜けているような場合、就寝時の歯ぎしりや食いしばりにより、上の歯のダメージが大きくなります。
下の歯は生え揃っているため良いですが、飛び飛びになっている上の歯はこちらの歯ぎしりや食いしばりにより、動揺してしまうおそれがあります。
こういったケースでは、入れ歯を装着したまま就寝し、デリケートな部分の歯や歯茎をガードした方が良いこともあります。
また入れ歯をつけたままにしておけば、万が一地震や火災などが発生したとき、入れ歯を忘れずに持ち出すことができます。
避難場所などで入れ歯がなければ、しばらくの間再作製することはできませんし、ただでさえ制限のある生活がより不便なものになります。
まとめ
入れ歯は歯を失った方にとって非常に便利であり、片時も外したくないと考える方も気持ちもわかります。
しかし装着するのは基本的に日中だけにしておき、就寝中は口内を休める時間に充てるのがベストです。
また入れ歯はただ単に外すだけでなく、しっかりブラッシングと浸け置き洗いを徹底しなければいけません。
汚れが落ちていない状態だと、就寝中に外したとしても感染症などのリスクは高まります。