矯正治療には、ワイヤー矯正やマウスピース矯正などさまざまな種類がありますが、いずれもある程度の期間装着し、ゆっくりと歯並びを改善する治療であることには変わりありません。
では、矯正治療中の日常生活では、どのようなポイントを押さえ、どのような行動に注意すべきなのでしょうか?
詳しく解説します。
矯正治療中の日常生活におけるポイント&注意点
矯正治療中は、以下のような日常生活のさまざまな場面において、ポイントや注意点を押さえておく必要があります。
・食事
・歯磨き
・運動
・睡眠
・仕事
食事
矯正治療中の食事では、食べるものの内容や食べ方に注意しなければいけません。
まず、以下のような粘着性の高いもの、前歯で噛む必要があるもの、硬いものはできるだけ控えてください。
こちらは、矯正装置の破損や変形の原因になります。
例 | |
粘着性の高いもの | ガム、キャラメル、ソフトキャンディ―、グミ、餅など |
前歯で噛む必要があるもの | リンゴ、トウモロコシ、骨付き肉など |
硬いもの | 煎餅、ナッツ、生のニンジン等硬い野菜など |
また、以下のような矯正装置に引っかかったり、挟まったりしやすい食べ物も、矯正装置の隙間に食べカスが残り、磨き残しの発生や虫歯などにつながりやすいため、できるだけ避けるのが無難です。
例 | |
引っかかりやすい食べ物 | ホウレンソウのお浸し、長ネギ、キャベツの千切り、ひじき、もやし、鶏肉、えのきなど |
挟まりやすい食べ物 | 挽肉料理(ハンバーグ、ミートソース、担々麺、麻婆豆腐、餃子など)、うどん、そば、ラーメン、スパゲッティなど |
逆に、おじややリゾット、グラタンやクリームコロッケなどの料理、バナナや桃、イチゴなどの果物は、矯正治療中でも問題なく食べることができます。
歯磨き
数ある矯正治療の中でも、ワイヤー矯正は固定式であることから、非常に歯磨きがしにくいという特徴があります。
ワイヤーの上部と下部は、まずワイヤーに沿って斜め45度方向に歯ブラシを傾け、毛先が細部まで届くように磨きます。
このとき、1本ずつ丁寧に磨くことを心掛けてください。
また、特に汚れが付着しやすいブラケットの周りについては、特に念入りに磨きます。
斜め上、斜め下などに角度を変えて磨くことで、汚れが落としやすくなります。
ワイヤー下については、歯ブラシを縦に向け、毛先をワイヤーの下に少しだけ通して磨き、歯と歯肉の境目にも忘れずに毛先を入れ、優しく磨きましょう。
もちろん、前歯の裏や奥歯など、矯正治療中でなくても磨き残しが出やすい箇所についても、しっかりと磨く必要があります。
運動
矯正治療中は、さまざまな形態の装置を口内に装着しますが、以下のような運動やスポーツは特に制限なく、普段通りに行うことができます。
・ウォーキング
・ジョギング
・ランニング
・サッカー、フットサル
・テニス
・ゴルフ
・バスケットボール など
逆に、他のプレイヤーと激しく接触する可能性が高いスポーツに関しては、矯正治療中は避けるべきです。
例えば、ボクシングやフルコンタクトの空手、アメリカンフットボールなどは、顔面に強い衝撃が加わり、口腔内を大きく損傷する原因になるため、避けなければいけません。
睡眠
矯正治療中は、基本的に睡眠時でも矯正装置を装着し続けなければいけません。
また、このときには痛みが出ることがあり、場合によっては眠れないほどの痛みになることもあります。
特に、矯正の開始直後は、まだ矯正装置に慣れておらず、歯の移動に伴う痛みも感じやすいです。
その他、痛みだけでなく、矯正装置の不快感、呼吸や音の変化、ストレスや心理的要因などによっても、睡眠に悪影響が出る可能性があります。
もし、矯正装置の装着により、なかなか寝付けないような状況が続くのであれば、以下のような方法で対処すべきです。
・快適な睡眠環境の整備
・睡眠のリラックス法の実践
・睡眠ルーティーンの確立
・ストレス管理
・睡眠に適した食事や運動
・医師への相談
歯科クリニックの医師に相談すれば、睡眠の質を上げる方法についてアドバイスをしてもらえるだけでなく、他の健康上の問題が原因であるかどうかもチェックしてもらえる可能性があります。
仕事
矯正治療を始めた直後は、痛みや違和感によって仕事に集中できなくなることもあります。
ただし、このような痛みや違和感は、慣れによって少しずつ改善されていきます。
また、職業によっては、矯正装置を装着することによる審美性について気になる方もいるかと思います。
このようなケースでは、インビザラインなど比較的目立ちにくい矯正治療法を選ぶことにより、不安が取り除かれた状態で仕事に取り掛かることができます。
まとめ
ここまで、矯正治療中の日常生活におけるポイントや注意点について解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
矯正治療は、安全に配慮しながら、優れた効果を発揮してくれる治療ですが、日常生活における制約はどうしても出てしまいます。
これらとうまく付き合い、適切な方法での装着やメンテナンスを繰り返すことにより、初めて理想の歯並びが完成します。