虫歯は歯周病と並ぶ、誰もが知っている代表的な口内トラブルの1つです。
しかし、虫歯の症状や治療の内容について、細かくご存知の方は、意外と多くありません。
今回は、虫歯を患っている可能性がある方や、治療を検討する方によくある、症状や治療に関する質問にお答えします。
虫歯は自然に治る?
残念ながら、一度発症した虫歯が自然に治ることはありません。
小さな虫歯であれば、早急に歯科クリニックに通うことで改善できる可能性がありますが、放置すれば進行し、やがて神経まで達し、神経や歯自体を取り除く大がかりな治療が必要になります。
また、このような状態になると、治療回数や費用面でも患者さんの負担は増えていくため、異常に気づいたら、少しでも早めに歯科クリニックを受診してください。
ものを噛んだときだけ痛みが出るのは虫歯?
さほど深さがなく、浅い虫歯などは、ものを噛んだことが刺激になり、表面的に痛みを感じることがあります。
また、ものを噛んだときの痛みが表面的なものではなく、歯根の先の奥深いところで感じているようであれば、噛み合わせの負担が過度にかかっていることや、歯根の周りに炎症があることなどが考えられます。
そのため、いずれも放置せず、早めに受診することをおすすめします。
歯の表面の黒い着色は虫歯?
歯の表面に現れる黒い斑点のような着色は、必ずしも虫歯であるとは限りません。
場合によっては、着色であることも考えられます。
こちらは、ステインという成分によるもので、歯の表面を覆っているペリクルという物質が、コーヒーや紅茶などに含まれるタンニン、タバコのヤニなどと結びついてできます。
ステインは、歯の表面に固着している状態のため、口をゆすいだり、歯を磨いたりしただけでは取れません。
また、黒い斑点の部分に痛みがあったり、歯の面積に対して斑点が大きかったりする場合は、虫歯を発症している可能性が高いです。
虫歯を放置すると、他の健康な歯にも影響する?
虫歯が他の健康な歯に転移するということはありません。
ただし、虫歯によって穴が開いているところなどには、食べカスが詰まりやすくなるため、そこから虫歯が進行する可能性は高いです。
また、他の歯には影響がなくても、虫歯が原因で口臭が発生することがあるため、治療をするに越したことはありません。
虫歯は再発する?
結論から言うと、虫歯は再発することがあります。
虫歯は、口内に虫歯の原因となる細菌が感染することから始まります。
細菌は口内の食べカスなどの汚れによってつくられるプラークを住処として存在し、糖分をエサに酸を出して歯を溶かします。
つまり、虫歯を一度治療したとしても、歯磨きや食事の回数、唾液量や歯並びなど、さまざまな要因で細菌、プラークが増えると、また再発してしまうということです。
ちなみに、特に虫歯が再発しやすいのは、歯の溝、歯と歯の隣り合う面、歯茎との境目です。
痛くない虫歯治療はある?
一般的に、虫歯治療と聞くと、歯を削るイメージが強いかと思います。
しかし、近年は歯科技術の進歩に伴い、新たな考え方が提唱されてきました。
それは、可能な限り歯を削らず、抜かず、健康な歯を残すという考え方です。
具体的には、まず唾液検査によって口内環境をチェックし、口内環境の改善に努めます。
そうすることで、軽度の虫歯の進行を抑え、歯の回復を促すことが可能です。
さらに、歯科クリニックによっては、レーザーや齲蝕検査液により虫歯の状態を正確に把握し、不必要に歯を削ることを避けます。
痛み以外に虫歯かどうか判断する方法はある?
歯が痛むほどの虫歯は、かなり進行している状態です。
逆に、歯が痛いからといって、必ずしも虫歯であるとは限りません。
噛み合わせが過度にかかっていたり、知覚過敏だったりすることでも、歯が痛いと感じることはあります。
また、痛み以外でいうと、歯に穴が開いていたり、黒くなっていたりと、見た目でわかることもありますが、見た目だけでなく、歯と歯の間にフロスや糸ようじなどがスムーズに通らず、引っかかる場合なども、虫歯の可能性があります。
歯の痛みがなくなったら虫歯は治っている?
慢性的に問題がある歯は、体調が悪いときなどに急性の症状が出て、痛みにつながることがあります。
このような場合、体調の改善とともに痛みがなくなるため、治ったと感じてしまいますが、実際は治ったのではなく、痛みを感じなくなっただけです。
また、虫歯が神経にまで達し、壊死している場合も、一切痛みを感じないことがあります。
何の問題もない歯が痛くなることはないため、症状を感じたら早めに受診しましょう。
まとめ
ここまで、虫歯の症状や治療に関するよくある質問にお答えしましたが、いかがでしたでしょうか?
虫歯の症状や治療に関して一つ言えるのは、わからないことをそのまま放置していても、一つも良いことはないということです。
少しでも違和感があったり、痛みがあったりした場合には、怖がらずにその原因を明らかにするため、歯科クリニックに相談してください。
