子どもの歯には、さまざまな形態異常が見られる場合があります。
こちらは歯並びではなく、歯そのものの形状やサイズに問題がある状態を指しています。
また、子どもの歯に見られる形態異常の一つに、中心結節というものがあります。
今回は、中心結節の概要や原因、リスクや治療法などについて解説したいと思います。
子どもの中心結節とは?
子どもの歯に見られる中心結節とは、奥歯の噛む面の中心あたりに、円錐または短い棒状の小さな突起ができる症状をいいます。
11~12歳頃の子どもによく見られます。
特に、下顎の第二小臼歯で発生するケースが多く、その次に下顎の第一小臼歯、上顎の第二小臼歯で見られる可能性が高いです。
また、中心結節の特徴としては、左右対称に形成されやすいということも挙げられます。
そのため、場合によっては、上下複数の小臼歯、奥の大臼歯で発症することもあります。
ちなみに、中心結節は極めて珍しい症状であり、出現率はわずか1~4%ほどしかありません。
大臼歯に至っては、0.08%という出現率です。
子どもの中心結節における原因
結論から言うと、中心結節はその原因がハッキリしていません。
歯がつくられる時期に、構造形態として少し変わった形になってしまったことから発症します。
つまり、“たまたまそういう形になってしまった”ということです。
また、中心結節は、エナメル質の部分だけが突起として出現しているわけではなく、細く伸びた神経が突起状となった構造と一体化し、つながっていることも多いです。
このように、神経が象牙質、エナメル質といった外部の構造とあわせて伸びてしまう原因についても、明確ではありません。
ちなみに、中心結節は、モンゴロイドという東アジア系の人種に起こりやすいとされています。
子どもの中心結節におけるリスク
子どもの中心結節は、本来は存在しないはずの部分に突起が見られる症状です。
また、こちらの症状を放置するリスクとしては、以下のようなことが挙げられます。
・噛み合わせの悪化
・破損による痛み
・虫歯
・根尖性周囲炎
噛み合わせの悪化
子どもの噛み合わせは、ほんの少し高さが違うだけで大きな違和感が生まれるほど、繊細で緻密です。
そのため、中心結節があることにより、噛み合わせは悪化します。
また、噛み合わせの悪化は歯並びやプラークコントロールに影響し、プラークが溜まりやすくなるなど口内環境の悪化につながり、ひいては顔や身体の歪みを引き起こすこともあります。
破損による痛み
先ほども触れたように、中心結節はエナメル質や象牙質だけでなく、神経も通っていることがあります。
そのため、食事や噛み合わせの際に破損すると、大きな痛みを伴うことが考えられます。
もちろん、そのままの状態で食事やブラッシングなどを継続すると、なかなか痛みは引きません。
虫歯
子どもの中心結節が割れることにより、歯髄に炎症を起こすだけでなく、虫歯菌への感染を容易に引き起こすこともあります。
こちらは、破折の仕方によっては、歯の内部にまで容易に細菌が侵入しやすくなることが原因です。
根尖性周囲炎
中心結節が折れても、折れ方によっては歯髄が露出しないことがありますし、露髄範囲がわずかであれば、痛みを感じないこともあります。
しかし、たとえ神経に大きな影響が出なかったとしても、破損した部分の歯の厚みは薄くなり、冷たいものや熱いものの刺激は歯髄に伝わりやすくなります。
こちらは、噛んだときの刺激にも言えることであり、痛みを感じないほどのわずかな露髄であっても、歯髄に刺激が蓄積します。
すると、少しずつ歯髄が弱くなっていき、最終的には歯周組織そのものが死滅します。
その結果、歯髄が腐り、それが合った部分が細菌繁殖の温床となって、歯の根の先に膿が溜まります。
こちらが根尖性周囲炎という症状です。
子どもの中心結節の治療法
子どもの中心結節は、主に以下の2つの方法で治療します。
・突起をなだらかにする
・突起の先を削る
突起をならだかにする
1つ目の治療法は、中心結節を樹脂タイプの素材で円錐状にし、突起をならだかにすることで、根元から折れる危険性を排除しつつ、ゆっくり先のほうから削れるようにする治療法です。
こちらの処置は、あらかじめ削る作業は行わず、自然に咬耗するよう促すことを目的としています。
突起の先を削る
2つ目の治療法は、突起の先の法を少しずつ削り、短くしておくという方法です。
こうすることで、根元から折れる危険性を排除します。
ただし、こちらの治療は、事前に突起の中に神経が通っているかについて、レントゲン写真を撮影し、確認しなければいけません。
また、急激に削ると痛みが出る可能性があるため、少しずつ確認しながら進めていく必要があります。
まとめ
ここまで、子どもの中心結節における原因やリスク、治療法などについて解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
中心結節は非常に珍しい形態異常ではありますが、出現した場合のリスクは大きいです。
子どもに痛い思いをさせないため、そして子どもの歯の健康を守るためにも、親御さんは逐一子どもの歯をチェックし、問題が生じていないかを確認しなければいけません。