親御さんは、子どもの歯や歯茎の健康状態を維持するために、仕上げ磨きを徹底したり、食事内容を管理したりする必要があります。
また、虫歯や歯周病以外で、子どもの歯に生じやすいトラブルとしては、外傷も挙げられます。
ここからは、子どもの歯の外傷における概要や原因、応急処置の方法などについて解説します。
子どもの歯の外傷とは?
子どもの歯の外傷とは、何らかの理由により、歯に大きな力が加わり、形状や状態が変化してしまうことをいいます。
具体的には、以下のようなものを指しています。
・破折(歯が欠ける)
・歯がグラグラする(動揺、歯根破折)
・歯の位置がずれる(転移、脱臼、嵌入)
・歯が抜ける(脱落)
・歯の変色、歯茎の腫れ など
子どもが一人で歩けるようになると、これらの外傷につながる可能性が高くなります。
子どもの歯の外傷の原因
子どもの歯の外傷が起こる原因は主に以下の通りです。
・交通事故
・転倒、転落
・喧嘩
・スポーツ など
交通事故で顔面を強く打ったり、転倒や転落などで顔面部をぶつけたりすると、前述したような歯の外傷が起こる可能性が高いです。
また、子ども同士の場合、学校などで取っ組み合いの喧嘩をするようなケースも多く、このときの勢いで顔をぶつけることにより、歯が欠けたり、グラグラになったりすることがあります。
ちなみに、スポーツの中でも、サッカーやラグビー、バスケットボールなど、走っている状態の人と人が接触する可能性が高いものは、歯の外傷のリスクを高めます。
歯の外傷は歩き始めの子どもに多い
子どもが歩き始める年齢には個人差がありますが、早くて1歳頃、遅くても3歳頃にはほとんどの子どもが歩き出します。
しかし、歩き始めは歩行があまり安定していないため、いわゆるよちよち歩きになり、転倒しやすくなります。
また、幼い子は頭が重く、転倒したときに顔から地面についてしまうケースも多いため、歯の外傷が起こりやすいです。
特にぶつけやすいのは上の前歯であり、指しゃぶりやおしゃぶりの影響で前歯が突出している子は、特にぶつける可能性が高くなります。
ちなみに、子どもの歯の外傷は、女の子よりも男の子に多く見られます。
こちらは、男の子の方が運動は活発になることが多いからです。
歯の外傷は小学生の子どもにも多い
子どもの歯の外傷は、歩き始めの子だけでなく、小学生にも多く見られます。
小学生は、転倒による事故が約半数ともっとも多く、ものや人への衝突がその次となっています。
これらの事故は、主に休み時間に起こることが多く、歯の破折や亜脱臼が総外傷のおよそ7割を占めています。
学校内での子どもの動きは、どうしても親御さんが目を光らせることができない部分であるため、安全に過ごすにはどうすれば良いか、きちんと子どもと話し合うことが大切です。
歯の外傷における応急処置の方法について
子どもが歯の外傷を負った場合、必ず歯科クリニックに連れて行かなければいけませんが、その場に居合わせた親御さんは、応急処置を施す必要があります。
まず、子どもが頭部などを強打し、吐き気やめまいを訴える場合は、意識状態や反応を確認し、歯科クリニックの前に脳外科などの診療科を受診することをおすすめします。
また、歯茎から出血している場合は、止血を行います。
具体的には、うがいや濡らしたガーゼで出血部位をキレイにした後、清潔なガーゼなどで出血部位を押さえて止血を試みます。
歯茎が切れていたり、歯根が折れていたり、歯の位置がずれていたりすることもあるため、その後は早めに歯科クリニックを受診しましょう。
ちなみに、歯が欠けた場合は、状態によってはその歯を再びくっつけられることがあるため、清潔なガーゼなどに包み、通院までの間失くさずに保管しておくべきです。
歯が抜け落ちた場合も同様で、条件が良ければ歯を元の位置に植え直すことができるため、脱落した歯を歯の保存液もしくは牛乳につけるか、ガーゼ、ラップなどに包んでおきましょう。
歯の外傷を放置するとどうなる?
転倒などで子どもの歯が欠けたり、抜けたりした際には、決して放置してはいけません。
それがどのような状態であっても、放置することによってさらなる状態の悪化を引き起こすからです。
例えば、歯が欠けたり折れたりした場合は、エナメル質の下の象牙質が剥き出しになり、知覚過敏を引き起こすだけなく、そこから細菌に感染し、虫歯になってしまうことも珍しくありません。
また、歯が抜け落ちた場合も、そこから細菌感染が引き起こされ、歯茎や顎の骨にまで病変が広がるおそれもあります。
まとめ
ここまで、子どもの歯の外傷における原因、応急処置の方法などを中心に解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
日頃から活発に動く子どもの転倒や歯の外傷などについては、ある程度注意することはできますが、完璧に防ぐことはできません。
そのため、親御さんは目が届くときには最大限の注意を払い、目が届かないときでも、危険な行動や無理はさせないよう、日頃から教育しておくことが大切です。