子どもの歯に虫歯があった場合は、歯科クリニックで治療し、穴を埋めるために詰め物を入れます。
しかし、子どもの歯に装着する詰め物は、大人のものと比べて外れやすいという特徴があります。
ここからは、子どもの詰め物が外れやすい理由や、外れたときの対処法などについて解説します。
子どもの歯に使用される主な詰め物
子どもの歯に使用される主な詰め物は、保険適用の銀歯です。
こちらは、正確には金銀パラジウム合金と呼ばれるものであり、金や銀、パラジウムなどの素材の化合物です。
保険診療で治療でき、比較的安価である程度の硬さがあるため、目立たない奥歯などで選択されるケースが多いです。
子どもの詰め物が外れやすい理由6選
子どもの詰め物が大人と比べて外れやすい理由としては、主に以下のことが挙げられます。
・乳歯が薄くやわらかいから
・接着力が弱いから
・生え変わりがあるから
・ガムやアメを食べることが多いから
・唾液の分泌量が多いから
・治療の精度が落ちやすいから
乳歯が薄くやわらかいから
子どもの乳歯は、永久歯に比べて厚みがありません。
そのため、必然的に装着する詰め物も薄くなり、どうしても外れやすくなります。
また、乳歯は永久歯と比べて、硬さもそれほどありません。
このことから、最初は適切な高さに詰め物をしていても、周囲の乳歯が摩耗していくことから、詰め物の部分だけが浮き上がってしまい、食事をしたときなどにひっかかって外れるケースがあります。
接着力が弱いから
先ほども触れたように、子どもの歯の詰め物には、基本的に金銀パラジウム合金が使用されていることが多いです。
こちらは、リーズナブルな価格で装着できる反面、経年劣化が起こりやすく、場合によっては錆びてしまうこともあります。
また、詰め物はセメントによって歯に接着されていますが、金銀パラジウム合金はこちらの劣化も見られやすく、徐々に接着力が弱まることから、外れやすくなることがあります。
生え変わりがあるから
子どもの歯は、乳歯から永久歯へと生え変わります。
また、こちらの時期に虫歯治療を行い、詰め物を装着した場合、歯がグラグラと動いたり、隣の歯が生えてきたりすることによって、詰め物が外れやすくなる可能性があります。
ガムやアメを食べることが多いから
子どもは基本的に、甘いものが大好きです。
また、甘いものが好きな子どもは、普段からガムやアメ、キャラメルなどを食べる機会も多いですが、このような粘着性があるものや、歯にくっつきやすいものについては、詰め物が外れる原因になりやすいです。
唾液の分泌量が多いから
子どもは大人と比べて、唾液の分泌量が多いです。
こちらは、まだ口周りの筋肉がそれほど発達していないことや、うまく唾を飲み込めないことなどが主な理由です。
また、こちらの唾液は、口内環境を整えてくれる作用がありますが、常に口内が唾液で溢れているような場合、詰め物を留めるセメントの劣化が早まるため、外れやすくなってしまいます。
治療の精度が落ちやすいから
子どもの中には、歯科クリニックを極端に嫌がる子も多いです。
例えば、過去に受けた治療がトラウマになっている子どもや、単純に歯科クリニックの雰囲気やニオイが苦手な子どもなどは、なかなかスムーズに治療を受けることができません。
また、このような子どもは、治療中も泣き叫んだり、動いたりしてしまう可能性が高く、このことから子どもの詰め物は、大人と比べて精度が劣りやすくなるとされています。
こちらも、子どもの詰め物が外れやすい原因の一つです。
子どもの詰め物が外れた場合の対処法
子どもの詰め物が外れてしまった場合、親御さんはまず外れた詰め物をなくさないように保管しましょう。
保管して歯科クリニックに持参すれば、それを使用して再びくっつけることができるため、一からつくり直す必要がなく、無駄な治療費もかかりません。
保管の方法としては、水で洗い、チャックが付いたビニール袋に保管するのがおすすめです。
チャック付きの袋がない場合は、通常のビニール袋に入れ、口をしばっておく方法でも構いません。
また、子どもの詰め物が取れたら、なるべく早く歯科クリニックを受診します。
詰め物が取れた状態で長期間過ごすと、穴が開いた部分から細菌が侵入して痛みが出たり、治療した虫歯が再発したりするおそれがあります。
ちなみに、歯科クリニックに通うまでの間は、こまめに歯磨きやうがいを行い、穴が開いた部分を清潔に保つことを意識してください。
取れた詰め物を破棄したり、親御さんの力で元に戻そうとしたりといった行動はNGです。
まとめ
ここまで、子どもの詰め物が外れやすい理由や、外れたときの対処法について解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
子どもの詰め物は、乳歯や詰め物自体の性質から、どうしても外れやすくなってしまいますが、外れるリスクを減らしたり、詰め物の劣化を遅くしたりすることは可能です。
もし、不安なのであれば、前もって歯科クリニックの医師に相談し、長持ちするコツなどについてアドバイスをもらいましょう。