代表的な小児歯科治療には、主に3つの種類があります。
具体的には、歯科クリニックの医師や歯科衛生士によるブラッシング指導、歯をフッ素でコーティングするフッ素塗布、そして今回解説するシーラントです。
ここからは、シーラントの概要やメリット・デメリットなどについて詳しく解説します。
シーラントの概要
シーラントは、奥歯や前歯の溝をプラスチック樹脂の一種で一層埋めることにより、虫歯を予防する方法です。
主に、生えて間もない6歳臼歯や乳歯の奥歯に対して行われます。
具体的には、乳歯や永久歯の噛む面の深い溝に、光で固まるプラスチック製の樹脂を埋め、虫歯菌が侵入しないようにガードします。
また、このとき使用されるプラスチックは、フッ素が配合された歯科用樹脂素材であり、さまざまな効果が期待できます。
シーラントのメリット
小児歯科治療の一つであるシーラントのメリットは、主に以下の通りです。
・施術が簡単
・虫歯のリスクを軽減できる
・歯を削らなくて済む
・保険が適用される
施術が簡単
シーラントは、決して難しい処置ではありません。
対象となる上下の奥歯に対し、樹脂を使って溝を埋めるだけです。
そのため、本数によって多少前後するものの、治療は約15分で完了します。
時間がかかってしまう治療は、子どもがじっとしていられないことなどが懸念されますが、シーラントではそういった心配がありません。
虫歯のリスクを軽減できる
シーラントを行うことにより、子どもが虫歯になるリスクを抑えられます。
生えたばかりの奥歯は未成熟であり、溝が深いため、汚れが溜まりやすく、虫歯にもなりやすいという特徴があります。
また、エナメル質がやわらかいため、虫歯の進行が早く、適切な手入れをしなければ悪化しやすい傾向にあります。
シーラントを行えば、奥歯の溝を埋めて汚れが溜まりにくい状態にし、虫歯のリスクを減らすことができます。
歯を削らなくて済む
シーラントの処置を受けることで、将来的に歯を削らなくて済む可能性があります。
虫歯が悪化すると、歯を削ることになってしまうケースがほとんどです。
歯科クリニックで治療する際のキーンという音が苦手な方は多く、特に子どもはこちらの音を聞いただけで、泣きわめいてしまったり、暴れたりすることが考えられます。
シーラントは、虫歯を予防するための処置であるため、早めに行っていれば、このような心配は少なくなります。
もちろん、シーラント自体にも歯を削る作業はありません。
保険が適用される
小児歯科治療の中には、自由診療のものと保健診療のものがありますが、シーラントは後者であるため、それほど高い治療費を負担することはありません。
ただし、シーラントで保険適用となるのは、6~12歳までの子どもが対象です。
なおかつ、初期虫歯にかかった乳歯か、生えたばかりの永久歯に限定されます。
13歳以上については保険適用ができないため、こちらの点は前もって把握しておくべきです。
シーラントのデメリット
一方で、子どもが受けるシーラントには以下のようなデメリットもあります。
・施術後もメンテナンスを受ける必要がある
・外れやすい
・歯科医師の腕に左右される
施術後もメンテナンスを受ける必要がある
シーラントは、一度治療を受けたら、何もしなくても虫歯を予防できるというわけではありません。
その後のケアの方法によっては、虫歯になってしまうことも十分にあり得ます。
そのため、施術後も自宅でのセルフケア、歯科クリニックでの定期検診は継続させなければいけません。
外れやすい
シーラントは、一般的な詰め物と比べて、外れやすいという特徴を持っています。
詰め物の場合、外れにくいように歯を削り、形を整えるケースが多いです。
一方、シーラントは歯を削ることがないものの、樹脂を流して固めているだけであるため、外れる可能性は十分にあります。
特に、ガムやグミ、アメなど、粘着性の高い食べ物は外れる原因になるため、親御さんは注意してください。
ちなみに、シーラントが外れても再治療は可能ですが、その分手間だけでなく費用も掛かる可能性があります。
歯科医師の腕に左右される
シーラントは、きちんと子どもの歯の汚れを落とした上で行わなければ、細菌が奥歯の内部に閉じ込められ、そこが虫歯になる可能性があります。
また、表面がなめらかになっていなければ、段差などに汚れが溜まりやすくなり、かえって虫歯のリスクは高くなります。
つまり、シーラントの虫歯予防効果は、歯科医師の腕に左右されるということです。
そのため、親御さんはシーラントを受けさせる際、慎重に歯科クリニック選びをしなければいけません。
まとめ
ここまで、代表的な小児歯科治療であるシーラントのメリット・デメリットについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
少しでも子どもの歯の健康を守りたいという親御さんは、実績のある歯科医師のもとでシーラントを受けさせましょう。
もちろん、そのときにはブラッシング指導やフッ素塗布などもあわせて受けることが望ましいです。