ホワイトニングで歯を白くしたいという方は多いかと思います。
昔は芸能人など、限られた方が行うイメージの施術でしたが、現在は一般の方でも気軽に受けられるようになりました。
しかし、無カタラーゼ症の方は、ホワイトニングを受けることができません。
今回は、無カタラーゼ症について詳しく説明します。
無カタラーゼ症の概要
無カタラーゼ症は、体内に存在する酵素の一種であるカタラーゼをつくれない疾患です。
先天性の疾患であり、後天的に発生することは基本的にありません。
また、無カタラーゼ症には遺伝的要素が強いという傾向があり、親御さんが発症している場合は子どもにも見られやすいです。
特に、濃い血族結婚を繰り返している家系によく見られます。
ちなみにカタラーゼは、過酸化水素を水と酸素に分解する酵素です。
体内で生じる活性酸素の毒素を抑える働きがあり、通常唾液にはアミラーゼとともに含まれています。
つまり、無カタラーゼ症は、生まれつき過酸化水素を分解できない疾患だということです。
無カタラーゼ症は絶対的禁忌症
ホワイトニングには、絶対的禁忌症と相対的禁忌症があります。
無カタラーゼ症は、これらのうち絶対的禁忌症に該当します。
絶対的禁忌症は、名前の通り絶対にホワイトニングを受けてはいけない症状です。
無カタラーゼ症の場合、施術を受けることで口腔疾患につながる可能性もあります。
ちなみに、相対的禁忌症とは、ホワイトニングを受けることの危険性は低いものの、安全性を立証できていない症状を指します。
例えば妊娠中などは、相対的禁忌症に当てはまります。
なぜ無カタラーゼ症の方はホワイトニングを受けられない?
無カタラーゼ症の方がホワイトニングを受けられない理由には、ホワイトニングで使用する薬剤が関係しています。
歯科クリニックで施術するオフィスホワイトニングでは、過酸化水素が入った薬剤を使用します。
健康な方であれば、こちらの薬剤を誤飲しても特に問題ありません。
一方、無カタラーゼ症の場合、薬剤に含まれる過酸化水素を体内で分解できません。
そのため、体内に成分が蓄積してしまい、重篤な口腔疾患を引き起こすおそれがあります。
具体的には、口の中が大きく荒れ、場合によっては組織の壊死を起こしてしまいます。
もし、このような症状が出た場合、歯科クリニック側は責任を取ることができません。
したがって、絶対的禁忌症という形で、最初からホワイトニングには対応できないようになっています。
無カタラーゼ症の調べ方について
自身が無カタラーゼ症かどうかは、歯科クリニックで調べることができます。
まず、歯周ポケットの中に過酸化水素水(オキシドール)を1滴垂らします。
もし、泡が出ないようであれば、無カタラーゼ症の疑いがあります。
また、過去にケガをしてオキシドールを付けた際に泡が出なかった場合、無カタラーゼ症である可能性が極めて高いです。
ちなみに、無カタラーゼ症の発症割合は、日本人では0.001%以下と極めて低確率です。
それでも「ホワイトニングを受けるときに初めて発症を知った」という方は少なからず存在します。
無カタラーゼ症でも受けられるホワイトニングとは?
無カタラーゼ症はホワイトニングの絶対的禁忌症ですが、こちらはあくまでオフィスホワイトニングに言えることです。
自宅でマウスピースを装着して行うホームホワイトニングであれば、無カタラーゼ症の方でも受けられます。
ホームホワイトニングでは、過酸化尿素が含まれた薬剤を使用します。
つまり、過酸化水素が入っていないため、塗布しても問題が起こらないということです。
また、オフィスホワイトニングよりもホームホワイトニングの方が、使用する薬剤の濃度が低いです。
そのため、知覚過敏の方や、歯にヒビが入っている方でも行える可能性があります。
無カタラーゼ症の方のホワイトニング以外の選択肢
無カタラーゼ症の方は、ホワイトニング以外の選択肢でも歯を白くすることができます。
例えば以下の方法です。
・セラミック治療
・ラミネートベニア
セラミック治療
セラミック治療は、歯の見た目を改善する審美治療の一つです。
歯を一定の形に削り、その上にセラミックの被せ物を装着します。
当然過酸化水素は使用しないため、無カタラーゼ症の方でも受けられます。
ただし、セラミック治療では健康な歯を削る必要があります。
ラミネートベニア
ラミネートベニアは、歯の表面のエナメル質をわずかに削り、セラミック製のチップを貼り付ける方法です。
健康的な歯をほとんど削らず、見た目を美しくできる治療で、当然無カタラーゼ症の方にも適用されます。
まとめ
無カタラーゼ症の方は、生まれつき過酸化水素を分解することができません。
そのため、ホワイトニングを受けると口内だけでなく、体内でのトラブルにつながる可能性もあります。
ただし、過酸化水素を使用しないホームホワイトニングであれば、問題なく受けられます。
また、セラミック治療やラミネートベニアも行えるため、歯を白くすることを諦める必要はありません。