虫歯治療を受けるにあたって、初めての方は特に不安なことだらけだと思います。
そのような方は、事前に虫歯治療の悩みや注意点などについて、できるだけ多く把握しておくことが望ましいです。
今回は、虫歯治療における意外な悩みとその対策について解説します。
虫歯治療の意外な悩み4選
虫歯治療を受ける場合、以下のようなことに悩まされる場合があります。
・治療中の唾液
・顔のタオル
・治療中のニオイ
・口角炎
各項目について詳しく説明します。
治療中の唾液
虫歯治療において、多くの患者さんが密かにパニックに近いストレスを感じるのが、口内に溜まる水分のコントロールです。
治療ではドリルの摩擦熱を防ぐために大量の冷却水が噴射されますが、バキュームで吸いきれない水分が喉の奥に溜まっていく感覚は、溺れているような錯覚を呼び起こします。
またここで患者さんを悩ませるのが、「唾液を飲み込んでいいのか」という葛藤です。
治療中に喉を動かして飲み込もうとすると、頭がわずかに揺れてしまい、高速回転するドリルで口内を傷つけてしまうのではないかという恐怖が働きます。
しかし、飲み込まなければ窒息しそうな不快感に襲われます。
この極限状態の中で、鼻呼吸を必死に維持し、舌の根元に力を入れて水分を堰き止める作業は、想像を絶する集中力と体力を消耗させます。
この苦痛を回避するための最善の策は、治療開始前に「唾液が溜まるとパニックになりやすい」と歯科医師に正直に伝えておくことです。
事前に申告があれば、こまめにバキュームの手を止めたり、特定の歯だけを露出させて喉に水がいかないようにする「ラバーダム」という隔離器具を使用してくれたりします。
顔のタオル
水しぶき防止や患者の緊張緩和のために目にかけられるタオルが、実は逃げ場のない閉塞感を生む意外な悩みとなります。
視界を完全に奪われることで、周囲の状況が全く把握できなくなり、耳元で鳴り響くドリルの高音や、器具が触れ合う金属音だけが異常に強調されて聞こえるようになるからです。
暗闇の中で、次に何をされるかわからないという不安感は、人間の本能的な恐怖を呼び起こします。
特に閉所恐怖症の傾向がある方にとっては、顔を覆われること自体がパニックの引き金になり、冷や汗や動悸が止まらなくなることもあります。
歯科クリニック側は親切心で行っているサービスですが、受ける側にとっては五感を奪われた無防備な状態を数十分間強いられることになってしまいます。
この圧迫感から解放されるには、遠慮せずにタオルなしでの治療をリクエストしましょう。もし水しぶきが気になるのであれば、タオルではなく、透明なフェイスシールドや、目元だけを保護する歯科用ゴーグルに変更してもらうのがおすすめです。
治療中のニオイ
虫歯治療には、日常生活ではまず遭遇することのない独特なニオイが充満しています。
代表的なのは、歯を削る際のタンパク質が摩擦熱で焼けるような、独特な焦げ臭さです。
自分の身体の一部が削り取られていることを嗅覚で実感させられるこの臭いは、本能的な嫌悪感を呼び起こし、痛み以上に不快な記憶として脳に刻まれます。
また消毒薬や接着剤のツンとした刺激臭も加わり、これらの臭いは脳の情動を司る部分に直接作用します。
その結果、治療が終わった後も日常で似たような臭いを嗅ぐだけで、一瞬にして歯科クリニックの椅子に座っているようなフラッシュバックに悩まされる人が少なくありません。
この嗅覚のトラウマを防ぐには、鼻に届く情報を自分の好きな香りで上書きするのがもっとも効果的です。
例えばアロマオイルを数滴垂らしたシールを襟元に貼ったり、香りの強いリップクリームをたっぷりと塗ってから椅子に座ったりするとで、特有の臭いを遮断できます。
口角炎
奥歯の深い虫歯や、複雑な根管治療を行う際、歯科医師が術野を確保するために、口の端を器具や指で強く横に引っ張る必要があります。
この動作が数十分続くと、口角の皮膚に過度な負担がかかり、皮膚が裂けてしまったり、炎症を起こして口角炎になったりすることがあります。
治療中は麻酔が効いているため、口が裂けそうになっても痛みを感じず、そのまま処置が進んでしまいます。
しかし、麻酔が切れた後に大きな口を開けて食事をしようとした瞬間、ピリッと走る激痛に驚かされることになります。
一度裂けた口角は、会話をしたり食事をしたりするたびに何度も傷口が開くため、治癒に時間がかかるのが特徴です。
この苦痛を未然に防ぐには、治療の椅子に座った直後、ワセリンや高保湿のリップクリームを口の両端にたっぷりと塗り、皮膚の柔軟性を高めておくことが不可欠です。
これにより、強く引っ張られても皮膚がダメージを吸収し、裂傷を防ぐことができます。
まとめ
虫歯治療は決して危険なものではありませんが、苦手な方にとってさまざまな障害が存在する治療であることは事実です。
そのため、治療前には歯科医師に相談し、自身の特徴や苦手なことなどについて徹底的に伝えておかなければいけません。
歯科医師は患者さんにとって最善の治療を行ってくれるため、相談さえすればほとんどの悩みは解消されます。

