子どもは身体に先天的な異常を抱えて生まれてくることがあります。
例えば生まれつき身体が弱かったり、部位の形状が通常と異なったりするケースです。
またこのような現象は歯でも起こり得ます。
矮小歯は子どもの歯の先天的な異常の一つです。
今回は、子どもの矮小歯における原因や問題点について解説します。
矮小歯の概要
矮小歯(わいしょうし)は、大きさが通常と比べて非常に小さい歯です。
歯冠が委縮した形状をしていて、円錐状もしくは蕾状をしています。
全体が小さな歯になっている場合もありますが、多くの場合矮小歯は1~2本です。
上顎側切歯(前歯正面の隣の歯)や第三大臼歯(親知らず)によく見られます。
また乳歯の上下顎の側切歯(乳側切歯)にも生えてきます。
ちなみに上顎の側切歯の矮小歯で歯冠が円錐形のものは円錐歯と呼ばれます。
一方親知らずに見られ、歯冠が蕾状のものは蕾状歯といいます。
子どもの矮小歯における原因
子どもの矮小歯における原因は、実はまだハッキリとわかっていません。
可能性という意味では、遺伝やビタミンD不足などと言われることもあります。
また矮小歯は前歯や親知らずに起こることが多いです。
そういった理由から、現代人における顎の矮小化が原因と考えられることもあります。
顎の矮小化は、食生活の変化などによる退化減少と捉えられています。
つまり硬いものを食べる機会が減ったことから、顎が小さくなっているということです。
子どもの矮小化における問題点
子どもの矮小歯は、著しい悪影響を及ぼすようなものではありません。
機能的に問題がなければ、歯が小さくても治療せずに過ごせます。
しかし、以下のような問題が生じることもあります。
・噛み合わせのバランスの乱れ
・食事と栄養摂取への影響
・審美性の悪化
・すきっ歯のリスク
噛み合わせのバランスの乱れ
矮小歯があることで、子どもの噛み合わせのバランスが崩れる場合があります。
歯の噛み合わせは左右対称で上下の歯がしっかり噛み合うことが理想です。
しかし歯列の中に一つだけ大きさの違う歯があると、噛み合わせのバランスは崩れます。
またバランスが崩れると、片側の歯ばかりで噛んでしまう癖がつきます。
こちらは顎関節症のリスクを高めます。
さらに噛む筋肉が不均等になることで、頭痛や肩こりなどの症状にもつながります。
食事と栄養摂取への影響
矮小歯は子どもの食事と栄養摂取にも影響を及ぼすことがあります。
適切な噛み合わせが難しい場合、子どもは食事を摂る際に苦労することがあります。
特に硬い食品や肉類の摂取を避ける傾向にあり、結果的に栄養バランスが偏ります。
また栄養不足は、子どもの成長や健康にも影響することが懸念されます。
審美性の悪化
矮小歯には審美性を悪化させるという問題点もあります。
前歯に矮小歯がある場合、見えやすい部分の歯が小さいということになります。
他の歯は揃っているにもかかわらず前歯だけ小さいと、人目を引いてしまうでしょう。
よって子どもは矮小歯を気にして、あまり笑顔をつくれない可能性があります。
また笑うときに口を覆う癖がついてしまうことも考えられます。
さらに歯が小さいとその部分が目立ち、ガミースマイルに見えることもあります。
ガミースマイルは、歯茎が過剰に見える状態です。
こちらも子どもがコンプレックスを抱える原因の一つです。
すきっ歯のリスク
矮小歯にはすきっ歯のリスクもあります。
隣の歯と比べて矮小歯は小さいため、歯と歯の間に隙間ができやすいです。
そのため俗にすきっ歯と呼ばれる正中離開、空隙歯列にもなりかねません。
すきっ歯になると、見た目のコンプレックスを抱えるケースも多くなります。
また歯は本来であれば、隣り合う歯同士で支え合っています。
しかしすきっ歯の場合はそれが難しいです。
隙間ができ支える歯がない場合、横に倒れるケースもあります。
矮小歯が倒れてしまうと、さらに審美性や噛み合わせに影響を与えることになります。
子ども矮小歯の治療法について
子どもの矮小歯の主な治療法には、セラミックやレジンを使った修復治療があります。
すきっ歯の場合には歯列矯正が有効です。
また上記2つを組み合わせた治療法などもあります。
ただしすきっ歯かどうかを判断するには、生え変わりの時期まで待つ方が良いです。
具体的には永久歯の犬歯が生えてくるまで待ちます。
犬歯が生えるまでの子どもの歯は、むしろすきっ歯である方が正常です。
すきっ歯の子どもが多く見られるのはこちらが理由です。
よって矮小歯の治療を受けるのであれば、犬歯が生える10~12歳でも遅くありません。
まとめ
ここまで子どもの矮小歯の原因や問題点を見てきましたが、いかがでしたでしょうか?
矮小歯は、見つけ次第すぐに対処しなければいけないような異常ではありません。
しかし長い目で見ると、治療をしておいた方が良いケースが多いです。
特に著しく噛み合わせに影響が出ている場合は、歯科クリニックに相談しましょう。
放置していると、歯の機能的な問題や症状が発生するリスクを高めます。