読書は知識や教養の習得だけでなく、語彙力や想像力、コミュニケーション能力の向上に役立つ素晴らしい趣味です。
休日はゆっくり本を読んで過ごすという方も多いかと思いますが、実は読書には虫歯リスクが潜んでいます。
今回はこちらの内容について解説します。
読書における虫歯のリスク4選
読書が趣味の方は、以下のような理由で虫歯のリスクが高まることがあるため、注意が必要です。
・ながら食べによる脱灰の継続
・唾液分泌の減少と乾燥
・食いしばりと微細な亀裂
・寝落ち読書による清掃機会の喪失
各項目について詳しく説明します。
ながら食べによる脱灰の継続
読書という行為は、他の趣味に比べて静止時間が長く、手持ち無沙汰を解消するために“ながら食べ”を誘発しやすい性質を持っています。
特に物語に没頭していると、無意識のうちに飴を舐め続けたり、甘いコーヒーを少しずつ口にしたりする時間が長くなります。
これが虫歯リスクにおいてもっとも危険な理由は、口内が酸性に傾く時間の長さにあります。
食事をすると口内は酸性になり、歯の表面のエナメル質からミネラルが溶け出す脱灰が始まります。
しかししばらくすると唾液の力で口内は中性に戻り、溶け出した成分を補う再石灰化が行われます。
ところが、読書をしながら数時間にわたって糖分を摂取し続けると、唾液による中和が追いつかず、口内は常に脱灰し続ける状態になります。
本を汚さないために選ばれがちな、手が汚れず、長時間口の中に留まる飴やキャラメルは、皮肉にももっとも虫歯を作りやすい条件を揃えています。
読書中の間食が習慣化している場合、気づかないうちに歯の表面が広範囲にわたって侵食されるリスクがあります。
唾液分泌の減少と乾燥
読書に深く没頭すると、脳が高度に活性化される一方で、自律神経のバランスが変化します。
特にスリリングな展開や難解な内容を読み解く際、身体は一種の緊張状態となり、交感神経が優位になります。
交感神経が活発になると、サラサラとした消化を助ける唾液の分泌が抑制され、口の中がネバネバしたり乾燥したりするドライマウスに近い状態が引き起こされます。
唾液には、歯の表面を洗浄する自浄作用を始めとした、歯を守るための多機能な防御壁としての役割があります。
読書に集中するあまり、まばたきの回数が減って目が乾くのと同様に、口の中も深刻な乾燥にさらされています。
この状態で“ながら食べ”を行えば、酸を洗い流すこともできず、虫歯菌にとってこれ以上ないほど繁殖しやすい環境を提供することになります。
また口呼吸になりやすい姿勢で読書をしている場合、さらに乾燥は加速します。
集中力の維持には水分補給が欠かせませんが、選ぶ飲み物が糖分を含むものであれば、乾いた口内に糖を塗りつけるような結果となり、虫歯リスクを劇的に高めてしまいます。
食いしばりと微細な亀裂
読書時の姿勢は、顎関節や歯列に対して意外なほど大きな物理的負荷をかけます。
うつ伏せで顎を枕に乗せたり、あるいは頬杖をつきながらページをめくったりする姿勢は、顎の筋肉を緊張させ、上下の歯を無意識に接触させる食いしばりを誘発します。
通常リラックスしている時の上下の歯の間には数ミリの隙間があるべきですが、読書に熱中するあまり、何十分も奥歯を噛み締め続けてしまう人は少なくありません。
この持続的な過剰圧力がかかると、歯の最も硬い組織であるエナメル質にマイクロクラックと呼ばれる目に見えない微細なヒビが入ります。
このヒビは目視では確認できませんが、虫歯菌にとっては内部へ侵入するための絶好の侵入経路となります。
さらに、強い力が加わり続けることで歯の根元部分のエナメル質がパキパキと剥がれ落ちるアブフラクションという現象が起き、象牙質が露出することもあります。
露出した象牙質はエナメル質よりも酸に弱く、非常に虫歯になりやすい部位です。
物語の展開に力を込めて食いしばることは、物理的な破壊と細菌による浸食の両面から、歯の寿命を縮めるリスクを孕んでいます。
寝落ち読書による清掃機会の喪失
一日の終わりにベッドの中で本を読む時間は、多くの方にとって至福のひとときですが、これが習慣化している場合は清掃機会の喪失という致命的な虫歯リスクを伴います。
読書によるリラックス効果は副交感神経を刺激し、心地良い眠気を誘います。
しかし、その睡魔に抗えずそのまま眠りに落ちてしまう寝落ちこそが、虫歯予防における最大の障壁となります。
睡眠中は、起きている時に比べて唾液の分泌量が極端に減少します。
もしブラッシングをせずに眠ってしまえば、日中の食事や読書中に摂取した糖分、増殖した細菌が唾液の洗浄・殺菌作用がほとんど及ばない状態で一晩中活動することになります。
特に寝る直前の読書は、脳が疲労しているため判断力が低下し、「少しだけ休んでから磨こう」という油断を招きがちです。
たった一度の磨き残しであっても、睡眠中の数時間は虫歯菌がエナメル質を溶かすには十分すぎる時間です。
まとめ
冒頭でも触れた通り、読書という趣味自体が悪いわけではありません。
むしろ自らのさまざまなスキルアップにつながるため、積極的に本は読むべきだと言えます。
しかし、何も考えずに読書をしていると、虫歯のリスクが高まりやすいことは事実です。
そのため、糖類や口内の乾燥に注意し、しっかりブラッシングなどのセルフケアをすることも怠ってはいけません。

