歯科クリニックの予防歯科治療は、虫歯や歯周病といった症状から口内を守るために、さまざまな観点から行うプロフェッショナルケアです。
また、こちらにはさまざまな治療が存在し、それぞれ明確な目的で行われます。
ここからは、歯科クリニックで受けられる予防歯科治療の種類とメリットについて解説します。
歯科クリニックで受けられる予防歯科の種類とぞれぞれのメリット
歯科クリニックでは、健康な口内環境をキープするために、以下のような予防歯科治療を行っています。
・フッ素塗布
・スケーリング
・PMTC
・歯磨き指導
・口腔内診査
・シーラント
フッ素塗布
フッ素塗布は、歯に高濃度のフッ素を塗布する治療です。
フッ素は、私たちの身近な自然界にある元素で、お茶や魚介類などに豊富に含まれています。
ミネラルの一種であり、カルシウムと同じく歯と骨を構成する要素として機能します。
こちらを歯に塗布することのメリットとしては、主に以下のことが挙げられます。
・歯質の強化
・酸の生成の抑制
・歯の再石灰化の促進
・着色汚れの予防
歯の表面にあるエナメル質は、ハイドロキシアパタイトという成分でできていて、こちらはフッ素と結合すると硬化する性質があります。
また、フッ素には酸の生成を抑え、虫歯を予防したり、虫歯予防にとって重要な再石灰化を促したりといった効果もあり、歯の細かいキズがコーティングされることで、着色汚れもつきにくくなります。
ちなみに、市販の歯磨き粉に含まれるフッ素の濃度は、大体500～1,500ppmですが、歯科クリニックなどの医療機関で使用するフッ素の濃度は、9,000～123,000ppmほどで、かなり濃度が高いです。
このことからも、市販の歯磨き粉と比べて、歯科クリニックのフッ素塗布の効果が大きいことがわかります。
スケーリング
スケーリングは、歯の表面に形成された歯石を除去する治療です。
歯石はプラークが硬くなったもので、歯ブラシによるブラッシングで落とすことはできません。
スケーリングであれば、専用の器具でこのような頑固な歯石も落とすことができます。
また、スケーリングを行うことにより、プラークや歯石の再付着が防止しやすくなりますし、当然虫歯や歯周病のリスクも下がります。
その他、歯茎が下がることを予防できたり、口臭が軽減されたりするのもメリットです。
PMTC
PMTCは、専用の機器を使用して行う歯のクリーニングです。
歯や歯肉を傷付けない専用の機器を用い、家庭の歯磨きでは落としきれない汚れやプラークを除去すると同時に、表面にツルツルに磨くことで、虫歯や歯周病の予防にもなります。
また、PMTCで歯をクリーニングすると、虫歯や歯周病の原因となるバイオフィルムも除去することができます。
バイオフィルムは、ヌルヌルで粘着性が高く、菌の増殖力が強いことから、抗菌剤などの薬剤が届きません。
歯磨きや洗口剤だけでは落としづらく、PMTCのような専門的な処置で対応する必要があります。
歯磨き指導
歯科クリニックで行われる歯磨き指導では、一人一人の口に合った歯磨きの方法について、アドバイスをもらうことができます。
もちろん、こちらの指導を受けることで、磨き残しを把握できますし、歯磨きのコツを習得することによって、効率的にプラークを除去することにもつながります。
また、定期的に歯磨き指導を受けることにより、口内の変化を確認でき、なおかつ口腔内を清潔に維持することができるため、長期的な健康維持が期待できます。
口腔内診査
歯科クリニックの口腔内診査は、歯や歯茎の状態の診査です。
具体的には、患者さんが現在気になっている歯の状態はもちろん、進行中の虫歯や歯周病がないかどうか、過去に治療した歯は現在どのような状況なのかについてもチェックします。
また、歯科クリニックによっては、必要に応じてPCR検査を実施し、細菌の種類や数を調査し、抗生物質の服用により、口内の悪い細菌を減少させてくれます。
シーラント
シーラントは、虫歯予防のために実施する処置であり、プラークが残りやすい歯の隙間などをプラスチック樹脂で埋めることで、食べカスやプラークなどを溜まりにくくするというものです。
また、シーラントは虫歯予防の治療でありながら、歯を削る必要がありません。
歯は一度削るともとには戻らない組織であるため、このような削らない治療は非常に大きなメリットがあります。
その他、歯の形状にもよりますが、基本的にシーラントは、それほど処置に時間がかかりません。
短時間で複数の歯を処置することができるため、歯科クリニックに苦手意識がある方であっても、大きな負担なく受けることができます。
まとめ
ここまで、歯科クリニックで受けられる予防歯科治療の種類とメリットを見てきましたが、いかがでしたでしょうか?
歯磨きやデンタルリンスといったセルフケアも、当然虫歯や歯周病の予防には必要不可欠ですが、それだけでは十分にケアできているとは言えません。
歯科クリニックに通い、セルフケアでは対処できない部分まで対処することで、初めて健康な歯や歯茎の維持につながります。
